2026年1月11日
薬剤耐性菌(AMR)の科学的エビデンスについて|KISENA公式見解
はじめに
近年、生肉フードの薬剤耐性菌(AMR)を関連づけた研究や発信が増えています。 KISENAでは、関心と不安の双方が高まっている現状を踏まえ、現時点で分かっていること/分かっていないことを明確に切り分け、科学的に整理した情報をお伝えすることが重要だと考えています。
本見解は、特定の食餌形態を擁護・否定することを目的とするものではなく、科学的エビデンスと管理の考え方を共有するものです。
1. 薬剤耐性菌(AMR)とは
薬剤耐性菌とは、抗菌薬(抗生物質)が効きにくくなった細菌のことを指します。
この問題は、人・動物・環境・食品が相互に関係する One Health(ワンヘルス) の課題として、
WHO・FAO・WOAH(旧OIE)などの国際機関でも重要視されています。
AMRは主に、
人医療・獣医療における抗菌薬使用
畜産・食品生産
環境中での循環
といった複数の要因が重なって生じるものであり、 特定の食品や食餌形態のみを原因として説明できる問題ではありません。
2. 生肉フリーズドライとAMRに関する研究の位置づけ
生肉、精肉、生鮮食品、ならびに一部のペットフード製品を対象とした研究において、 細菌や耐性遺伝子が検出されることが報告されています。
ただし、現時点では、
生肉あるいはフリーズドライフードを摂取したことにより
犬猫の体内で耐性菌が増加した
人への感染や健康被害が生じた
という因果関係を直接証明した臨床的・疫学的エビデンスは確立されていません。
検出されることと、増殖・感染・健康被害が生じることは同義ではなく、 この点を混同した解釈には慎重さが求められます。
3. フリーズドライ製法に関する科学的理解
フリーズドライは、低温環境下で水分を除去することで、原料の栄養構造や風味特性を維持しやすい製法として広く用いられています。
この製法の特性上、製品の品質や安全性は、
使用する原料の選定
前処理の設計
製造環境における衛生管理
製品検査および記録管理
といった製造プロセス全体の設計と運用によって左右されます。
KISENAでは、フリーズドライを含む製品について、製法単体で評価するのではなく、原料調 達から製造・検査・流通までを一連のシステムとして捉え、総合的な品質管理を行っています。
4. 微生物リスク評価における基本的な考え方
微生物リスクは、単に「検出された/されなかった」という二元論では評価できません。
評価には、
菌種
菌数および暴露量
宿主(年齢・健康状態)
継続摂取か一過性か
製造・流通・保管を含む管理条件
といった複数の前提条件を考慮する必要があります。
KISENAは、これらを無視して特定の食餌形態のみを危険視することは、 科学的に適切ではないと考えています。
5. KISENAのスタンスと取り組み
KISENAは、生肉・フリーズドライを扱う事業者として、AMR問題を軽視することはありません。
国際機関・行政の公表資料
国内外の学術論文
獣医師・研究者の見解
を継続的に確認し、 事実と仮説、検出と健康影響を切り分けた評価を行っています。
現時点での整理として、
生肉やフリーズドライが耐性菌を増加させると明確に証明されたわけではない
一方で、無関係と言い切る科学的根拠も存在しない
という中立かつ科学的に誠実な立場を取っています。
6. 利用実績と報告状況について
KISENA製品はこれまで多数のお客様にご利用いただいていますが、 薬剤耐性菌が直接の原因と考えられる健康被害の報告は、現時点では確認されていません。
また、国内外の文献を精査する限り、 特定のペット用生肉・フリーズドライフードが原因となり、 犬や人の耐性菌が明確に増加したと示す決定的エビデンスは確認されていません。
7. 行政および規制の状況
現時点において、 薬剤耐性菌のみを理由とした生肉・フリーズドライペットフードへの直接的な規制や禁止措置は確認されていません。
一方で、一般的な食品衛生および製造管理に関するガイドラインは存在しており、 KISENAはこれらに基づいた製造・管理体制を構築しています。
8. 今後の方針
薬剤耐性菌は「ゼロリスク」を前提とできないテーマです。
KISENAは今後も、
分かっていること/分かっていないことを明確に区別する
恐怖を煽る表現を用いない
新たな知見に応じて方針を柔軟に更新する
食餌のメリット・リスクの双方を正面から扱う
という姿勢で情報提供を続けます。
生肉・フリーズドライを選ぶかどうかは、飼い主様の大切な判断です。 KISENAは、その判断が理解に基づいたものとなるよう、 透明性の高い情報提供を行い続けます。